■サークル対抗代理戦争 対戦結果 第1幕

12月某日。
年の瀬迫るブロッコリー社屋に集められた代理人たち。
何故ここに集められたのか、無論それはわかっている。
「サークル対抗代理戦争〜ワレ何処の陸のもんじゃい〜」
このサークル同士の抗争に、自分は名代として、ここに集められた。招聘された。
それを受けるは己の意志。逃げる理由は見つからない。

その意気やよし。

厚手のコートに身を包み北風から身を守ることを知る代理人たちの表情は、皆一様に固い。
日本全国に散らばるディメンション・ゼロのサークル。
サークルたちが己が血を分かつ魂とも言うべきデッキを投稿し行なわれる代理戦争。
その意味を、その意義を、知ってか知らずかただただ無言で席につく。

誰が言い出すわけでもない。
無機質な会議室に詰め込まれた有機体としての本能が、動くことを、発することを躊躇わせる。
みじろぎ一つ許されない状況下で交わされる、目配せだけの挨拶。その視線は大きく別けて二つ。

「IKITEKAERERUTOOMOUNAYO」
「YARARERUMAENI YATTEYARU」

不意に開く会議室の扉。
誰も視線は泳がない。じっと目の前に置かれたマス目から、カードの束から目を離さない。
明かりが灯され、それが合図であったかのように、くぐもった空調が唸りをあげる。

始マリノ刻、キタレリ−

深く腰掛けられていたはずのソファアが一瞬すべての重みを忘れ、自らの弾性を開放する。
布と皮の擦れるが祀り。
勝ちか、負けか。黒目だけで一瞥し代理戦争はしたたかに幕を開けた。



◆予選ラウンド KOUSOU
 ルール
 ・参加表明21デッキ → 本選出場12デッキへ
 ・25分 1本勝負。 勝ちデッキは本選へ。負けデッキは敗退。
 ・不戦勝1、勝ちデッキ10、負けデッキの中からくじ引きで1 の計12デッキが本選出場。
 ・使用デッキはくじ引きで決定。
 ・YUIGON使用可。
 ・銃器使用不可。
 ・刃物使用不可。
 ・兵隊使用不可。



◆KOUSOU 第1試合
らりっくま 「ソウルの背中にメロメロでっき 代理人 細い葉の柳ムラナコ
日吉確定組 「boseki風緑黒・万人向けVer 代理人 進藤ジャッジ

人の世には抗えないものが三つある。「親」「金」「時間」。そのうち「時間」を自由に歪めることを目的とした「団結デビルクロック」。『シャドー・ソウル』の背中に惹かれ集められた黒単デッキを使うのは黒を嫌う細い葉の柳ムラナコ。これも因果か……。
対するは万人向けに調整された日吉確定組「boseki風緑黒・万人向けVer」。デッキとしての強さは屈指の黒緑を堅実に使いこなす進藤ジャッジ。
普段黒を使わない細い葉の柳ムラナコ。『失恋の痛み』に『失恋の痛み』返しをされ互いに手札を削りあう。しかし、手札が無くともプランから『バルカン』『ヤマブシ・ドリアード』が次々と現れ、場を制圧。『緑の獣王の門』を開くまでも無く、既に勝負はついていた……。
YUIGON通りに潔く負けを認める細い葉の柳ムラナコ。
「そのデッキ、強いッスよ。もちろん進藤さんの腕も確かですけど」
相手をほめる事も忘れてはならない……。

勝 日吉確定組 「boseki風緑黒・万人向けVer」 本選出場決定



◆KOUSOU 第2試合
CC団 「ジェネシス with 試作型 -心の悲鳴が聞こえるか!? 代理人 中村夫人
絶対領域 「ベストスタートデッキ 代理人 過激ジョー・百瀬

月刊ドラゴンマガジンにて好評連載中の中村聡著「ゼロの末裔」。そのストーリーを可能な限り忠実に再現したCC団の白単色デッキ。使用するは執筆者の妻中村夫人。相対するは、「初心者が最初に使うデッキにしてください」という捨て身とも思える指定によって選定された絶対領域の「ベストスタートデッキ」。使用者は過激ジョー・百瀬 。
YUIGONに従い、綺麗さっぱりルールを忘れたつもりになるところから対戦は始まる。
序盤は互いにエネルギーを溜めつつ、初心に返り、相手のターンの終わりにユニットを展開する過激ジョー・百瀬 。うっかりノーマルタイミングの『ミッドナイト・カウボーイ』を自分のターンに出し忘れる。迷いながらも『クリスタル・フォートレス』で着実に場を作るも、中村夫人の花束に隠されたミサイルであっさりとベースを破壊され、一気に形成は不利に。
着実にエネルギーを溜めつつ、まごつく過激ジョー・百瀬 の前に、燦然と降臨するシングルナンバーエンジェルの一人『ジェネシス・エンジェル』。脇を固めるプロトタイプたちのざわめきが過激ジョー・百瀬 の集中力を奪う。
中央エリア8500の『ジェネシス・エンジェル』を落とすことが出来ない過激ジョー・百瀬 。
焦る。意味無くプランをめくっては更新の繰り返し。序盤にエネルギーに埋めた『新星の魔炎ノヴァ』がキラ星のごとく輝いて見える。
が、それ以上に輝く金縁のエンジェルをついには落とせず。百瀬はプロモーション版バードマン・ソウルを手に入れた……。

勝 CC団 「ジェネシス with 試作型 - 心の悲鳴が聞こえるか!?」 本選出場決定



◆KOUSOU 第3試合
じぇが・じぇが 「トロンボー 代理人 プリンス斉藤
スマッシュ修道会 「ロスト・サムライ 代理人 メルマガ 中の人

参加デッキ中、屈指のまとまりの無さを誇る「トロンボー」。伝家の宝刀『全軍突撃(アラホラサッサー)』が成功するか否かが勝負の分かれ目となる。相対するは海を渡った野武士の集団「ロスト・サムライ」。失われた武士の誇りを取り戻すことができるのか……。
切れ味鋭く先攻を手に入れた中の人。後塵を喫するプリンス…。
序盤。プリンス斉藤の場に、僅か3ターン目にして早くも「トロンボー」のキーカード『レディ・ジェラシー』『ボンガ・ボンガ』『クラウン・ナイト』が降臨する(エネルギーゾーンに)。
中の人、負けじと5ターン目に中央に『ロスト・ワールド』を張り磐石の構え。
プランから湧いて出る武士たちに次々と潰されていく「トロンボー」のメカたち……。
天国の門を開けて現れた『ボンガ・ボンガ』も全くスマッシュすることなく沈められていく…。

「トロンボー」明らかに劣勢。黒が足りない。手紙で呪えない。
次々とプランから現れる野武士たち。
が、その余裕ともいえる戦略がじわりじわりと「ロスト・サムライ」の未来を狭める。
終盤に差し掛かり、デッキが薄くなり始めたことに気が付かない中の人。
僅か10枚の『フロッグ・ナイト』にすがるしかないプリンス。しかし流れは、着実にプリンスに傾いていた。
終盤。中の人、手札1……。残りエネは赤1無1。プランゾーンには『鎖鎌』。優先権放棄。山札は限りなく薄い。
覚悟を決め、すべての力を出し尽くして前に進むプリンス。
ゲコ……!ゲコ……。
中央に2体並ぶ『フロッグ・ナイト』。無茶。無謀。勇み足。
プリンス斉藤の視線は音もなく語る……。
「OTOSERUMONONARA OTOSHITEMIRO!」
不敵に笑う中の人。YUIGONを忠実に守り常に手札には『鎖鎌』を握っている……ハズだった。
中央投下……。
赤1無1をフリーズする刹那、中の人の指が止まる。己が犯した重大なミスに息を呑む。
硬直。フリーズしたエネルギーから指を離せない。いぶかしむプリンス。
「どうしたんだい?するんだろう?中央投下…」
震える指で無言のままエネルギーを戻す中の人。
「優先権……放棄ぃ……!!」
2点スマッシュを受け被スマ5。しかし序盤のプラン過多が響き、ドローするのは最後の山札。
勝負は付いた。
がっくりとうな垂れる中の人の手には『マスター風車ブレード』(赤1無2)が握られていた……。

勝 じぇが・じぇが 「トロンボー」 本選出場決定





◆KOUSOU 第4試合
広島げんしけん 「Wrath of GodFather 代理人 木谷会長
Fate 「FateDestroyaaaaah!!! 代理人 スマッシュ布施

デッキとしての強さが光る広島げんしけんの赤緑を引き当てたのは木谷会長。先日の大会での大勝が頭をよぎる。後手にまわるのはスマッシュ布施。デッキは『流氷の大陸』を採用し大型のリリースインを狙う赤黒青。
試合開始直後から布施の苦悩が続く。プランからバードマンソウルを覗かせるもつ次々と手札に引いてしまう『ステルス・スナイパー』。序盤順調に『バニー』『バルカン』でスマッシュを受けつつも進軍する会長の攻撃を守るために4コストユニットを中央投下し防戦一方の布施。キーである『流氷の大陸』を張れないうちに、じりじりと差を開けられる。
最速で現れるコスモクエイクにエネルギーを食いつかれ為す術なし……。
木谷会長、貫禄勝ちであった。
布施のYUIGONは虚しく響くのみ……。

広島げんしけん 「Wrath of GodFather」 本選出場決定



◆KOUSOU 第5試合
〜始まりの旅団〜 「ささらの可愛さは異常。 代理人 マッシュ中本
HATW 「ドラグーン!大砲 代理人 創造神 中村聡

『蟹の穴』から『ホリプパ』『アマリリス』を登場させることをコンセプトに生まれた〜始まりの旅団〜の青タッチ アマプパ。血気盛んな鉄砲玉マッシュ中本に対するのは、創造神 中村聡。HATWの用意したバイオ・ブラスター搭載のドラゴンデッキを静かにシャッフルする。先に動いたのは中本。中村の『シララアン』ラインに『蟹の穴』をセット。機会をうかがう……。その隙に中村は次々と『バルカン』『蜘蛛の巣をまとうフェアリー』をプランから成功させ、じりとユニットを展開させる。
焦る中本。どんなに騒いだところで所詮は手のひらの上の小躍りにすぎない。
『シララアン』をアマリリスに潰されたところで、握っていた『バイオ・ブラスター』をエネルギーに埋め、功を焦りエネルギーを使い果たした『アマリリス』を『カオスヘッド・ドラゴン』で踏み潰す。6000級の中量ユニット処理に苦心する間に『カオスヘッド』が鎌首をもたげながら一歩前進。マッシュ中本にそれを排除する体力は残っておらず……。

HATW 「ドラグーン!大砲」 本選出場決定



  第2幕へと続く



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